
離職率が高いコールセンターの実態
コールセンターは、離職率が高いというイメージがあります。
多くのコールセンターで抱えている問題は、
- 研修中の脱落が多い
- 毎月人を入れ続けないとヘッドカウントが純減する
- メンタルケアのための時間や人員が不足している
- 入社して比較的早期(1~3か月)で、大量に退職が出る
などの課題です。
こういう悩みを聞くと、私は、
「あー、職場がつまんないんだろうな・・・。」
と感じてしまいます。
日本人は、
”仕事=辛いもの”
という意識が強いですね。
仕事だって楽しくないとダメだと思います。
楽しい研修をすることが大事!
あなたのコールセンター職場のトレーナーは、楽しい研修を実施していますか?
まじめな研修に終始していないでしょうか?
もちろん、コールセンターはお客様との大事な接点ですから、スキルや知識の習得は大切です。
だからと言って、つまらない座学研修で、まじめな研修ばかりになってないでしょうか?
過去、業務研修、システム操作スキル、フォローアップスキル研修、ソフトスキル研修など、あらゆるタイプの研修を実施してきましたが、その都度受講生から言われたのは、
「え?もう終了時間?」
「面白かったから、また研修してほしい。」
「あっと言う間の一日でした。」
などです。
そして、トレーナーから良く質問されるのが、
「どうやったら、自分も楽しいトレーニングができるようになりますか?」
という質問でした。
必ず答えるようにしていることは、
「まずは、自分が楽しむことです。」
という回答です。
大抵のトレーナーは、ハッとした顔をします。
自分のミッションに真剣になりすぎていて、自分自身が楽しむことを忘れてしまうんですね。
コールセンター離職率を下げる研修とは?
とは言え、具体的にどうしたらいいか?
という事も指導してあげないと、最初の一歩が踏み出せません。
そのため、私は長い間、コールセンターのトレーナー・トレーニングを実施し基本的なスキルやテクニックを教えてきました。
私のトレーナー研修は、レベルに合わせて3段階にしていたのですが、その基本的なものを紹介します。
ポイント①:知識は7割、雑談3割!
カリキュラムをこなすために、テキストの端から端までをひたすら講義したり復習したりという研修になりがちです。
詰め込み教育は、もう小・中・高の12年で十分ですよね。
全体の時間の中で、知識やスキルに関する座学は7割で、3割は雑談に当てましょう。
雑談と言っても、研修内容にかかわる雑談です。
実際に過去に研修を受けた人の、ちょっとした面白失敗談などを差し込みながらテキストを進めます。
同じ研修を受けても、感じ方は千差万別!
勘違いして間違った例や、お客様との面白エピソードなどを聞くと、その部分の記憶が深まります。
人の脳は、ストーリーで覚えた内容は忘れにくいようにできているのです。
ポイント②:一方通行の研修はNG!
研修は、必ず双方向性にしましょう!
講師が一方的に話をして、進めていくのでは集中力が途切れてしまいます。
受講生にテキストを読んでもらったり、所々質問やクイズを入れて、頭と口を動かしてもらいましょう。
この時も、誰に答えてもらうか、人を指名してから質問しないように!
自分への質問ではないと思うと、脳が休憩します。
先に質問内容を投げかけてから、
「では、田中さん、わかりますか?」
のようにすると、全体に緊張感が出ます。
そして、次のポイントとしては、田中さんが答えを考えたり調べたりしている場合、長く待ちすぎないことです。
すぐに回答が出せないと思ったら、
「では、山田さんは?」
のように、すぐに次の回答者を指名します。
ポイント③:理解の早い人にスピードを合わせる
質問するときのように、すぐに次の回答者に移っていくと思うと、ちょっとスピード感を感じますね?
良くある間違った研修は、理解の遅い人に合わせた研修をすることです。
スピード感の遅い人に合わせると、早く習得できる人まで習得が困難になります。
丁寧な講義が良い研修ではありません。
聞き手の脳に深く残る話のスピードは、1分間に300文字です。
テレビなどで、カリスマ塾講師などで有名な先生は、みんな話のスピードがちょっと早めですね。
彼らの話は、大体この1分間に300文字スピードです。
原稿用紙4分の3くらいの長さですが、心理学的に一番脳が整理され納得しやすいスピードだと言われています。
このスピードによる講義が、一番スキルを定着させます。
2割程度の受講者がついてこれない可能性がありますが、自習時間や個別指導時間を毎日の終わりにセットしてフォローすることで、脱落者を防止できます。
ポイント④:ゴールの設定と進捗確認を共有しよう!
研修期間中の脱落者を減らすために重要なのは、ゴールの設定と進捗確認です。
研修全体の流れ、スケジュールと、日々のゴールを最初に明確にしましょう。
そして、ゴールに対して、受講生がどこまでできているのか?を毎日確認します。
ちょっとした知識テストも日々入れながら、合格ラインを明確します。
ダメな研修は、最後にテストをして答え合わせをし、本日終了にしてしまうパターンです。
合格できなかった人は、不安になって明日出勤しません。
テスト⇒答え合わせの後に、復習時間と個別の質疑応答時間を作りましょう。
個別の質疑応答は、トレーナーと受講者の関係構築にも大切な時間です。
ポイント⑤:時間厳守で終わらせよう!
ポイント①で、雑談の大切さをお話ししましたが、
「雑談していたから時間が足りなかった・・・。」
は、絶対NGです。
コールセンターは、時間厳守が命です。
受講生も仕事の後にプライベートな予定があり、楽しみにしているかもしれません。
それぞれ個人の時間も尊重しましょう。
研修期間が長い場合は、見直しが重要!
また、あまりにも長いカリキュラムは、離脱の原因になります。
最短距離で実際の仕事に入り、実績を出せる方法を考えましょう。
全てのスキルが揃ってからでないと仕事が始められないのは、離職率の原因になります。
早めに仕事が始められて、徐々にスキルを増やしていける仕組みにすることで、スキル・ミスマッチによる離職やメンタル・ヘルスの問題を避けることができます。