
コールセンターには、インバウンド業務とアウトバウンド業務があるよ。
パソコンと電話がずらりと並び、オペレーターがお電話でお話している風景。
テレビのニュースなどでも見た事があると思いますが、さてさて、
「どんな話をしているのでしょうか?」
電話応対の仕事をするコールセンターでは、大きくわけて『インバウンド』と『アウトバウンド』があります。
その意味は、
インバウント = 受電業務
アウトバウンド = 架電業務
この2つの業務を両方深く経験したことのある人は、あまり多くありません。
同じコールセンター業務でも、内容が大きく異なりますし、求められるスキルも違うからです。
今回は、その中でインバウンド業務には、どんな特徴があるのか、についてお話します。
インバウンド業務の例とその特徴
まず、インバウンド業務って、どんなお仕事があるのでしょうか?
全くの未経験者でも、比較的わかりやすい例としては、
★ テレビショッピングの注文受付
★ 航空会社の予約受付デスク
★ 携帯電話やパソコンなどのサポートデスク
★ カタログやECショップのお客様窓口
★ 保険会社の保険金請求受付
★ タクシーの予約受付
などなど。
まだまだたくさんあります。
テレビや広告、商品などにフリーダイアルが書かれていて、そこに電話をすると色々な質問やお願い事に応えてくれるオペレーターが対応してくれる窓口です。
正確に言うと、いきなり電話に人が出ることは少なく、IVR(Interactive Voice Response)と呼ばれる自動音声応答があります。
お客様は、自動音声ガイダンスに従って、ご自身の要件に合わせて番号を押し、それぞれのカテゴリー毎に精通したオペレーターに繋がる仕組みです。
お客様によっては、このIVRという音声ガイダンスに番号プッシュで回答するのがとても面倒という方もいらっしゃいますが、実は、この一手間があるお陰で、よりお客様の疑問・質問・要求に精通したオペレーターが回答できる仕組みになっています。
たまたま電話に出たオペレーターが新人で、聞きたいことにまともに答えられなかったり、電話がたらい回しになると、かえって余計な時間がかかってしまい、よっぽど気分を害しますよね。
そういうことを避けるために、お客様をより快適に、『おもてなし』できるオペレーターを最初の段階で自動的に振り分けてくれるのが、このIVRという仕組みになります。
逆を言うと、インバウンドの受電業務を一人前にこなすには、あらゆる角度から来るお客様の質問に備えた、知識と経験が必要になるのがインバウンド業務の特徴です。
扱う商材によっては、かなり細かい知識まで覚えないといけないので、トレーニングの日数も多くなりがちです。
アルバイトをする時は、このトレーニング期間は、勤務時間が異なったり、時給単価が安かったりするので、求人の要件をよく読み、面接でもしっかり確認する方がいいですね。
インバウンド業務の面白さ
では、インバウンドのどんなところが面白みか?
お電話をして来られるお客様は、本当に十人十色。
お問い合わせ内容も千差万別。
ですが、大抵のお客様は、
「困った!」
「教えて!」
「どうなってるの?」
「何とかして!」
と、助けを求めている方々です。
熟練したオペレーターにとっては、日常茶飯事なお問い合わせの内容でも、そのお客様にとっては一大事!
と言うことは多々あります。
そんなお客様の一大事を解決するのが、コールセンターの仕事の大きな役割。
また、ネットやアプリでなんでも購入できるようになった昨今では、このお客様の「困った!」時だけが企業にとっては唯一のお客様との直接コミュニケーションする場ということも多々あります。
つまり、コールセンターとの接点は、顧客体験の良し悪しを大きく左右するのです。
コールセンターのオペレーターは、このような【企業の顔】として、毎日お客様と接点を持ちます。
その企業のブランドイメージを背負っていると言っても過言ではありません。
そんなお客様の「困った!」を見事解決してあげると、ちょっとしたことでもとてもお客様から感謝の気持ちを伝えてもらえることが多々あります。
「あなたのお陰で助かったわ!」
「商品が不良品で、二度とおたくの会社を使わないと思ったけど、あなたの対応が良かったから、ファンになったわ。」
などと言われているオペレーターを今まで多く目にして来ました。
仕事を通して、人に感謝され、そしてお給料をいただける。
さらに、企業のブランドを背負っているというやりがいも感じられる仕事が「コールセンターのインバウンド業務」なのです。
インバウンド業務のペインポイント
とは言え、
「いやいや、そんないい事ばかりじゃないでしょう?」
もちろんです!
嬉しい事、楽しい事の裏には、辛い部分もあります。
コールセンターでは、英語表現が多く、『ペインポイント』という言い方をすることが多々あります。
『ペイン=痛い』
から、痛いところ。
やはり、お客様の
「困った!」を解決するわけですから、中には高いテンションでお電話をして来られるお客様もいらっしゃいます。
理不尽なお客様もゼロではありません。
深夜だと、酔っ払いの絡みもあったりします。
あるビール会社のコールセンターのマネージャーさんに聞いた話では、酔っ払ったお客様から
「今日のビールはまずいぞ!どうしてくれる?」と言う電話が入るときもあるとか・・・。
そして、そういう厄介なお電話は、いつかかってくるかは誰にもわかりません。
インバウンド業務は、コミュニケーションのきっかけも、その内容も、全てお客様が主導権を持って始まります。
インバウンド業務に求められるスキルと向き不向き
では、「インバウンド業務って、私に向いてるかな?」て、思いますよね。
また、採用する側も、スキルマッチやカルチャーフィットを考えて採用の合否を決める必要があります。
求められるスキルって何かを知っておくと、応募者も採用側も正しい判断をしやすいでしょう。
インバウンド業務に向くタイプの人
上述した通り、インバウンドは、お客様が主導でコミュニケーションが出発します。
そして、どんな球が飛んでくるかは、繋がってみないとわからないことが多いです。
そのため、ある程度のストレス耐性は必要です。
毎回鳴る電話の音に怯えているようでは身が持ちません。
ある意味、
『別に電話の向こうにいる人に殺される事はないし・・・。』
というような、割り切りは必要です。
ですが、
『困っているお客様を助けたい!』
という純粋な想いも必要。
うまく、自分のメンタル・バランスを取れる人がいいでしょう。
1コールごとに一喜一憂していては、心も体も持たないです。
特に日本人は、真面目な気質の人が多いので、採用する時にはストレス耐性もチェックしたいものですね。
インバウンド業務に必要なスキル
インバウンド業務では、あらゆる方面の質問が飛んできます。
そのため、知識のレベルアップが常に求められます。
お客様へのご案内の仕方は一定のルールがあるので、バリエーションは多くないですが、商品やサービスの知識の更新作業が常に発生します。
どんな商材を扱う場合でも、新商品や新サービス、約款の変更や利用規約の変更など、常に世の中は変化に富んでいます。
携帯電話だって、しょっちゅうバージョンアップされます。
ニュースやワイドショーで自社のスキャンダルが報道されると、詳しく聞きたい方や心配性な人がコールセンターに電話して来ます。
知識や情報は、常に刷新されますので、ずっと追いかけていかなければなりません。
よくできたコールセンターは、ツールやスクリプト、研修制度が充実していて、端末で検索すればすぐに正しい回答を得れますが、どこのコールセンターもそのような仕組みが整っているわけではありません。
仮に情報が整備されていても、その情報がどこにあるかという情報も知っていなければ意味がないですよね。
マニュアルやスクリプトも100%準備万端なコールセンターはなかなか無いと思った方がいいです。
そのため、必要とされるスキルは、下記の通りです。
1)PC操作の素早さ = 膨大な情報を検索して取り出す技術
2)お客様と話しながらPCでタイピングするマルチタスク・スキル
3)新しい知識を素早く吸収する理解力と記憶力
4)聞き上手でかついつの間にか会話のイニシアティブを取れるタイプ
最後の4)が、なかなか奥が深くて、難しいけど面白い部分です。
トレーニング次第で、できるようになります。
そして、できるようになると、とても楽しいです。
ここでは、インバウンド業務の一般的なスキルに留めますが、インバウンドの中でも業務内容によって、さらに違うスキルが求められます。
主には求人広告を正しく理解し、面接で正しい質問ができれば、自分の適正に合った仕事を見つけることができます。
また、その点については、別のページで詳しく提供していきたいと考えています。
インバウンド業務のまとめ
*あらゆる知識とその更新作業が求められる
*お客様の「困った」を解決するやりがいのある仕事
*お客様主導のコミュニケーションをさらりとかわせるスキルが身に付く
*共感する力は必要だけれども、決してクヨクヨしないメンタルが必要