
インバウンドコールセンターもKPI数値で管理?
数字の羅列を見るだけで嫌になる・・・。
という人もいるかもしれませんが、インバウンドコールセンター とって、日々の数値管理はとても重要です。
一般的には、数字目標を追いかけるのは、営業というイメージがありますが、インバウンドコールセンター におけるKPI 数値の管理は、営業より重要だと言っても過言ではないでしょう。
多くの人が動き、たくさんのお客様との接点が日々あります。
人件費というものは、経営指標としても大きな割合です。
そういう意味で、コールセンター で正社員として働く管理者は、多かれ少なかれ数字の責任があります。
特にインバウンドコールセンター は、コストセンターと位置づけされる企業が多く、企業の成績が悪いとコスト削減の対象とされることも多々あります。
また、コールセンターの仕事は、効率を追求していくとキリがない永遠のチャレンジとなります。
正社員は、効果と効率のバランスをいつも考えてコールセンター を運営!
数多くの非正規社員で構成され、時間給で働くオペレーターがたくさんいるコールセンター で、全体の効果と効率のバランスは大切。
日々、数多くの問い合わせ入電が入っているコールセンター では、1件あたりの問い合わせに一体いくらぐらいコストがかかっているのか?
ということを把握しておく必要があります。
そして、その1件あたりの効率を求めたり、注文に対しての問い合わせ件数を削減させる改善目標が、インバウンドコールセンター正社員として働く人の評価対象となります。
CPCという指標
上述した、コンタクト1件あたりにかかっているコストのことをCPCと呼びます。
C=Cost(コスト)
P=Per(パー)
C=Contact(コンタクト)
ということです。
これは、コールセンター のマネージャーで、1つのサイトやプログラムを任されている人であれば、現状のCPCと今年の目標削減率を考えて運営をします。
コストには、人件費はもちろんのこと、電話代やインフラ代、システムのライセンス利用料、家賃など、コールセンターを維持・運営するコスト全てが含まれます。
このコスト全体を全体のコンタクト数、電話・メール・チャットを含めた総数で割ると、1件あたりのコストが出てきます。
どこのコールセンターも、週単位・月単位および年単位でこの指標を計算しています。
CPOという指標
そして、もう一つがCPOという指標。
これは、1注文あたり、何件のお問い合わせが入っているか?
というもの。
C=Contact(コンタクト)
P=Per(パー)
O=Order(オーダー)
全問い合わせ件数を全注文件数で割り算して計算します。
こちらもCPC同様、週単位・月単位および年単位で、その推移を追いかけます。
CPCやCPOのKPI指標の目標設定とは?
昨今のコールセンターでは、経営から割り当てられたコールセンター 運営の年間予算を元に、このCPCやCPOの目標を定めます。
CPCとCPOは、どちらもインバウンドコールセンターの2大KPI ではありますが、目標設定とその達成のための具体的プロセスに大きな差があります。
CPCの目標設定と達成プロセス
CPCは、1件あたりのコストですから、完全にコールセンター 部門のみでその方法や手段などの戦略を立てることができます。
良くある手打ちとしては、下記のようなものです。
- スクリプト見直しによる対話時間(トークタイム)の削減
- シフト調整による効率化
- FAQ(良くあるご質問ページ)の充実によるお客様の自己解決への誘導
- コールフローの見直しによるオペレーター配置の効率化
- 一部業務のオフショア化(=人件費の安い海外のコールセンター に業務委託する)
- 業務プロセスの見直しによる効率化
これにプラスして、昨今ではコールセンター のデジタル化という波がきつつあります。
AIエージェントによる自動音声対応や、チャットボットによる自動回答です。
日本語は音声認識がかなり難しいため、英語圏などよりこの手の技術導入は遅れがちですが・・・。
CPOの目標設定と達成プロセス
上記CPCに対し、CPOはコールセンター 部門のみで改善するのは難しいです。
”注文あたりのコンタクト数を減らす”
ということは、自社の商品やサービスの内容に深く関わるからです。
コールセンターでできることは、お客様のペインポイント(=困っていること)は何か?
を分析することです。
日々電話やメール・チャットで来る問い合わせは、何かお客様が困っているから発生するわけです。
「使い方がわからない。」
「注文の仕方がわからない。」
「届いた商品がうまく作動しない。」
「支払方法がわからない。」
などなど・・・。
このようなお問い合わせの理由を『コンタクト・リーズン』と呼び、略してコールセンター 内では
”CR” (=Contact Reason)
という言葉で表記されます。
このCRは、あらかじめ分類分けされ、システムに登録されています。
電話やメール・チャット対応を実施たオペレーターは、1回1回のコンタクト(問い合わせ)につき、何か1つのCRを選択する仕組みとなっています。
そのCR情報を集計し、分析して、内容に応じて社内の各部署と改善の調整をする必要があります。
GAFAなどの最先端の企業では、あらかじめ問い合わせ導線にこのコンタクト・リーズンが埋め込まれていて、自動で振り分けられるようになっています。
コールセンター マネージャーには、社内交渉力が必要!
そういうわけで、コールセンター のマネージャーは、正社員としてKPIを達成するために、チームのマネージメントのみならず、社内コミュニケーション力が必要となってきます。
他部門の人たちに協力してもらうためにも、このようなKPI設計やKPI分析がとても重要なわけです。
数字的な根拠=”お客様のお困りごと”
と、
そこにかかっているコストの金額
を示すことで、商品の生産部門や企画部門も、自分ごととして会社全体が良くなっていくわけです。