
教育訓練とコールセンターの離職率
離職率の低いコールセンターは、トレーニングのカリキュラムがしっ読みかりしています。
実際に、コールセンター事業を生業としているBPO社を比較すると、教育訓練に重きを置いている会社は、定着率が高いです。
本当の意味で社員が定着しているかどうかは、10年・20年というスパンで見るとよくわかります。
先日、あるBPO社の担当者から、
「あらゆるコールセンターBPOを見て来られてる思うんですけど、当社の良さや強みってどんなところですか?」
と聞かれ、
「御社の強みは、昔から人の育成に力を入れてきたことですよね。」
と、外から見たら明白なことでも、
「そうなんですか?」
と、驚かれていました。
灯台下暗し
とは、よく言ったもので、中にいる人にはピンと来ないのかもしれません。
さらに、アドバイスしたことは、
長期的に人材を教育訓練し、プログラムごとにその業務に合ったチーム・ビルディングをいかにやるか?
ということを強みにした新サービスや売り込み方法を考えて、他社との差別化をする
ということです。
実際に、このBPO社と初めて一緒に仕事をしたのは、15年くらい前になりますが、当初のオペレーターやSV、営業担当がまだこの会社にいて、それぞれの分野でプロモーションしています。
オペレーターから部長職になった人もいます。
このようなたたき上げの部隊を持つコールセンターBPOは、仕事を任せて安心できるのは間違いないですね。
コールセンターの教育訓練とは?
15年前にこの会社と一緒に業務をしたときに、徹底的に
『教育訓練』とは何か?
ということを話し合ったことを思い出しました。
そもそも、『教育訓練』の『教育』と『訓練』をわけて考え、それぞれの段階に合った育成プログラムを用意することが大切です。
コールセンターあるある『教育』への不理解
『教育』とは、読んで字のごとく、『教えて』『育む』ことです。
仕事のやり方やツールの使い方、商品の知識やその企業のブランドイメージなど、最初は『教える』必要があります。
最もダメなコールセンターは、この『教える』で止まります。
オペレーターの処理ミスが発生した時に、ダメなトレーナーの主張は、
「私は、教えたんですけどね・・・。」
です。
教えたことが理解できていて、使えるものになっているか確認するところまでが、『教育』なのです。
コールセンターあるある『訓練』の未実施
そして、『教育』の段階の次に、『訓練』です。
『訓練』の意味は、
”何度も繰り返して、練磨する”
ことを目指すトレーニングです。
コールセンターでは、頭でわかっていても、お客様から聞かれた時にサッと取り出して、アウトプットする必要があります。
訓練が足りないと、このアウトプットが上手く行きません。
集合研修で教えて、テストをして合格したらOKではないのです。
最もよくあるのは、その後のロープレ(Role Playing)不足です。
実際にお客様と会話するところを想定して、シミュレーションせずにいきなりお客様と上手に話せることは無理でしょう。
ホテルのフロントなどで、たまに初心者マークをつけた従業員がたどたどしく対応することがありますね。
対面の仕事であれば、お客様も、新人だと思って大目に見てくれますが、コールセンターはそうは行かないのです。
コールセンター・トレーナーの育成
このように『教育訓練』のコンセプトをきちんと実施しているコールセンターは、品質が一定に保たれ、業務が安定します。
コールセンターBPO社の中には、トレーナーの資質を軽んじている会社もあります。
その会社の中でトレーナーの地位が低い組織は、要注意です。
トレーナーとして、『教育・訓練』のコンセプトをきちんと理解し、従業員の段階に応じたカリキュラムを組めているかどうかが重要です。
そして、そのようなトレーナーを育成することに、企業が力を入れているかどうかもポイントになります。
基本的な育成プログラムを考えたり、業務プログラムを横断したトレーニングの質のチェックまでやっているコールセンターBPO社は少ないです。
せいぜい、オペレーターの音声をモニタリングして、業務プログラムの横断的な品質チェックが関の山ですね。
それは、品質管理をやっているだけで、育成モデルの醸成を実施しているわけではありません。
トレーナーを育成できる人材の欠如
大きな課題としては、トレーナーを育成できるトレーナーがいないということです。
今まで見てきたBPO社でも、『トレーナーズ・トレーニング』のプログラムを持っている会社は稀です。
トレーナーの育成に予算をなかなか割り振れないというのが現状ですね。
しかし、一旦、質の高いトレーナーを何人か排出できれば、全体の質が上がり、定着率が高まります。
離職率の高いコールセンターは、既に、ネガティブ・スパイラル(負の連鎖)にはまっていますから、これをポジティブへギアを変えることが、何よりも重要です。