
アウトバウンド・コールセンター のシステム
アウトバウンドのコールセンター システムは、インバウンドに比べ、SVなどの管理者に技術的なスキルが必要です。
また、戦略的な考え方が長けていないと難しい場合もあります。
アウトバウンドで良く耳にする仕組みが、PDSと呼ばれる機能です。
PDSとは、Predictive Dialing System(プレディクティブ・ダイアリング・システム)の略です。
P(Predictive)= 予測する
D(Dialing)= 架電する
S(System)= システム
という意味です。
つまり、オペレーターの空き状況を事前に予測し、システムが架電対象の顧客リストから自動的に電話をかけていきます。
そして、お客様が電話口に出られた瞬間に、オペレーターに繋ぎ、かつそのお客様の情報をオペレーターのパソコン画面にポップアップ(表示)します。
これも、CTI の技術を活用した大量に電話架電を処理する仕組みです。
このアウトバウンドの自動架電システムは、インバウンドのIVRより以前から存在します。
インバウンドのIVRでは、オペレーターの画面に顧客情報をポップアップするためには、Caller ID(ナンバーディスプレイ)が必要ですが、架電の場合は、企業側が保有している顧客の電話番号をデーターベースから引っ張ってくるわけですから、お客様の電話機が番号通知機能を持っているかどうかは関係ないわけです。
Caller ID(ナンバーディスプレイ)により、PDSには問題が・・・。
効率がアップしたインバウンドとは逆に、Caller ID(ナンバーディスプレイ)の技術により、PDSの機能はフル活用できなくなりました。
PDSの問題は、オペレーターの空き状況を予測して架電していくので、システムのその予測が外れることがあります。
つまり、お客様が電話口に出られているのに、空いているオペレーターがいないという事態が起こるわけです。
アメリカで最初にこの仕組みが導入された時は、オペレーター100人に対して、電話回線が200本というのが主流でした。
つまり、100人しかいないのに、200回線の電話で架電するわけです。
もちろん、留守番電話や誰も出ない場合がありますので、その時は、システムはオペレーターに繋がず、自分で判断して回線を切ります。
ですが、時間帯によっては、システムの予測より多くのお客様が実際に電話に出られたり、オペレーターの通話時間が長引いて、空きが出るのが遅れることがあるわけです。
その場合、電話に出たお客様は、電話に出たのに、何も言わずに切られた・・・
ということになるのです。
全く知らない人からすると、
「ええ!そんなことしてたの?」
と、驚きの事実かもしれません。
Caller IDが存在しなかった時代には、誰からかかってきて切られた電話かはわからないので、お客様としては苦情を持っていくところがないわけです。
今になって考えたら、とんでもない時代でした。
ところが、Caller IDの登場で、誰がかけてきたかわかる時代になったので、
Predictiveという機能からProgressiveという機能へ変わっていきました。
これは、オペレーターの空きを確認し、空いているオペレーターの回線数だけ電話をかける機能です。
ですので、今は、どこのアウトバウンドセンターも
PredictiveではなくProgressive機能を利用しています。
さらに丁寧な対応は、Preview Dialing モードで!
そして、さらに丁寧な対応を必要とされる架電の場合は、Previewという機能を利用します。
これは、オペレーターが、顧客情報をPreview(事前に閲覧)してから電話を家電する仕組みです。
過去、そのお客様とどのような会話をしたのか?
そのお客様にお電話をする案件やそのためのスクリプトは何か?
ということを確認してから架電します。
より注意が必要なVIPカスタマーとの会話などに使われます。
アウトバウンドでは、PDSで架電計画を立てる
アウトバウンドセンターでは、このようにPDSを利用して電話をかけていきます。
つまり、オペレーターがお客様を選んで架電するのではなく、あらかじめ決められたお客様に対してアプローチするわけです。
では、そのあらかじめ決めるのは、誰なのか?
それは、架電戦略を担当するSV(スーパバイザー)が実施します。
戦略担当者は、過去のデータ分析を実施して、どの曜日に、どのお客様に電話するのがもっとも効率よく、そしてお客様にとっても適切かどうかを考えて、毎日の架電リストを作成します。
もちろん、その日の出勤オペレーターの数や総生産時間数も考慮して準備しなければなりません。
かなり、高いスキルが要求されますし、リスト抽出のツールを使いこなせるように勉強が必要です。
コールセンター の仕事の中でも、かなり特殊なスキルとなります。
分析や戦略づくりに自信がある人は、チャレンジすると良いですね。