FAQページにどんなツールを使うか?
FAQページの重要性について、過去の記事でお話をしてきました。
参考記事:見られていないFAQ!改善の仕方でコールセンターは大きく変わる!
それでは、効果的なFAQを作成するためには、どのようなシステム・ツールを選択するのがよいか?
ということについて解説していきたいと思います。
昨今では、日本の中小企業でも、深刻な人材不足を解消するため、お客様がセルフサービスで解決できる方法として、FAQやチャットボットの導入を検討する会社が増えてきました。
良くある相談事として、
「FAQページとチャットボット、どちらを優先すべきですか?」
「どんなツールを使えばよいですか?」
というものです。
お客様がセルフサービスで問題を解決するには、
わかりやすい内容
が
わかりやす場所
にあることが大切。
FAQでもチャットボットでも、その内容(コンテンツ)と UX(画面遷移の在り方)は重要ですね。
そのためにも、ツール選択は、FAQページの成功にとって、大変重要なカギとなります。
選定ステップ1:目的を明確にしよう!
まずは、FAQツールを導入、または刷新する際に、なにが目的であるかをハッキリさせましょう。
プロジェクトを立ち上げ、多くのツールを提供するベンダーと話をすると、あらゆるツールのセールスポイントを聞かされて、最初の目的からずれてくる場合があります。
もちろん、多くのツール機能を比較選択することは重要です。
その際に、知らなかった新たな機能で、新しいアイデアがひらめくこともあります。
ですが、第一の目的は何だったか?
ということに、いつも立ち返るようにする必要があります。
基本的には、大きくわけて、下記のどれを目指すのかを明らかにしておきましょう。
- お客様のセルフサービスを促し、コールセンターへの問い合わせを減少させる。
- お客様の購買意欲を向上させ、ウェブ申し込みやインサイドセールスに繋げる。
- 上記1と2の両方
選定ステップ2:大まかな数値目標を決めておこう!
ステップ1で、目的を決めたら、各目的の大まかな数値目標を決めましょう!
例えば、
電話による入電を20%削減したい!
ウェブからの申し込みを10%増やしたい!
資料請求を10%増やしたい!
各目標数値は、もちろん全て売上アップまたはコスト削減に繋がるはずですので、その総額目標も計算しておきましょう。
ツール導入の選択で、最後は導入コストとそれに対する費用対効果の戦いとなります。
その際に、どこまで値段交渉をする必要があるのか?
ということは、プロジェクトの最初で成功へのトラックに乗れるかどうかという選択になります。
選定ステップ3:コンテンツのボリュームを掴もう!
ステップ2までに目標とした数値を達成するために、どの程度のコンテンツを整理しないといけないか?
ということを決めましょう。
私は、企業からFAQツール導入の相談を受けた場合、下記のことをお聞きしています。
「今現在のFAQページは、月間どの程度閲覧されているのか?」
「FAQのコンテンツの数は、どの程度の量なのか?」
「FAQで解決せず、問い合わせとなるのは、どういう内容が多いのか?」
その内容の分量や見られているページ数によって、どういうレベルのエンジンが必要か?
ということを判断しています。
選定ステップ4:必要な機能の優先度を決めよう!
次に、目標を達成し、目的に沿った結果を実現するために、どういう機能が重要か?
その優先度をハッキリさせましょう。
重要機能1:コンテンツのレビュー
アップされているFAQのコンテンツが、お客様にとって本当に役にたっているのかどうか?
を知るためのレビュー機能。
『この内容は役に立ちましたか?』
という、レビューがコンテンツの最後に必ずあり、Good / Badにクリックするものです。
Badが多くつけられるコンテンツは、修正やリタイアをさせていくことで、精度の高いFAQページへとPDCAサイクルを回します。
重要機能2:自動優先度機能
お客様のレビューや、閲覧頻度により、役に立ちそうな内容から順次上に表示する機能。
キーワードを入れて検索すると、タイトルやコンテンツから複数の質問と回答にヒットします。
システムが、過去の閲覧履歴やレビュー履歴から、どのFAQが役に立っているのかを考え、優先して上位に表示させてくれます。
重要機能3:日本語の検索結果精度
外資系の企業が提供するFAQツールの場合、日本語の検索機能がイマイチということがあります。
日本語には、ひらがな・カタカナ・漢字という3つの表記方法があり、世界で稀な言語です。
更に送り仮名も色々です。
例えば、『ひっこし』という言葉でも、
引越し、引っ越し、引越、ひっこし、ヒッコシ
と、4種類あります。このどれもがヒットできる仕組みを作るのは、芸術的なことです。
上手くヒットしなかった時に、どのようにチューニングするのか?
その方法は、ITリテラシーがどの程度必要なのか?
などを確認しておく必要があります。
完璧に日本語の曖昧検索ができるシステムは、なかなか無いと思っておいた方が良いでしょう。
重要機能4:レポート抽出機能とその内容
FAQツールを完璧に使いこなし、成果を出すためには、レポート機能がとても重要です。
下記の内容が簡単に確認できるかをチェックします。
- 良く検索されているキーワード
- 良く見られているコンテンツ
- Goodがつけられたコンテンツをランキングで
- Badがつけられたコンテンツをランキングで
- 複数のお客様が検索ボックスに入れたキーワードで、どの記事にもヒットしなかったもの
上記の内容、どれだけ短いスパンでPDCAを回せるか?
が、重要なポイントです。
重要機能5:他のツールとの連携は?
FAQツールを導入する際、ツールが上手く行ったあとにどのような更なる発展形を目指すのか?
ということも念頭に入れておきたいところです。
- FAQツールでコンテンツを整理した後は、チャットボットの構築により商品購買に繋げたい・・・。
- FAQから有人チャットでオペレーターに繋げたい。
- 完全にセルフサービスを促し、アプリのダウンロードに繋げたい。
- 資料請求に持っていき、インサイドセールスにパスしたい。
- 次のステップに繋げるために、どの程度FAQツールに互換性があるか?
- API連携は可能か?
そこまで先を読んだツール選定ができている会社がないため、一つ一つがパッチワークとなり、情報が散らばった状態になっているというのが、ほとんどの日本企業の現実です。
システム選定は、長期的視野を持ちながら、いかに短期的な目標を達成できるか?
ということが重要です。